生成AIをずっと追ってきたが、私が起きると予想してた事が予想通りだったり、あるいはまったく予想と違っていたり、起きるなんて思わなかった事が起きたりしている。

今回はその辺についてザッと書いていく。

まず2022年8月にStable Diffusionがリリースされた。

当時はMidjourneyがリリースされたばかりでかなり盛り上がってたのだが、Stable Diffusionは当時のMidjourneyよりも高クオリティな面も多く、オープンモデルで公開され、消費者向けグラボで数十秒で画像生成できてしまうという事ですごい注目を浴びた。

私は当時、月額30ドルのサブスクビジネスやってたMidjourneyの方が当たり前のビジネスであって、大金かけて学習したStableDiffusionを無料で世界中にバラ撒いたStabilityはイカレてると思った。自社製品をタダでバラ撒いてそれでどうやって儲ける?Emad氏はインタビューで「ToB向けのカスタムモデルとか作って稼ぐ」とか言っていたが、当時からまったく現実的でないとは思ってたが実際稼げてなかったようだ。

だからStabilityは十分にシェアを集めた後で、クローズモデルに転換してサブスクとかで儲けるのかな?と予想した。

それで実際はどうなったのか?というと、Stabilityはその後もSD2.0やSDXLなど、どんどん性能の良い画像AIを無料でオープンでリリースし続けたが、当然のことながらまったく稼げておらず、内実は火の車である事をたしかForbesにスッパ抜かれまくってた。それからEmad氏は引責かなにかで退職して、SD3はラージモデルがクローズになってAPIからしか使えなくなった。そういう意味では予想はある程度合ってた。その時SD3のMediumモデルはオープンで提供されものの、解剖学的知識に問題があって性能がかなり不評で叩かれた。最近は他の企業からも優秀な画像AIがオープンで色々登場しており、FluxDevなんかが話題をかっさらって、Stabilityの影響力は低下している。

StableDiffusionの衝撃が冷めやまない2022年10月に出たのがNovelAIDiffusionだ。StableDiffusionのクオリティも当時としてはすごかったが生成したイラストに実用性があるか?と言われると厳しかったのだが、そのStableDiffusionにdanbooruから収集したイラストを追加学習させまくったNovelAIの生成イラストのクオリティは人間が描く絵と遜色がない!(今見るとそうでもない)

これはどえらい事になると思った。ただしNovelAIはクローズモデルのサブスクだから、いずれどっかから怒られてサ終するだろうし、そうしたら片付くだろうと思っていた。何しろアニメキャラのエロ絵が簡単に出てしまう。こんなヤバいAIは表舞台から葬り去られるに決まっとる。

とか思ってたらNovelAIのモデルはすぐにリークされて世界中にバラ撒かれてしまったので驚愕した。こうなるともう取り返しがつかない。いくら後からAIを禁止したってもはやすでにみんなの手元にNovelAIモデルが渡っており画像生成し放題なのだから。このNovelAIのリークモデルは非合法な存在なのだが案の定色んな派生モデルにこっそり紛れ込んで猛威を振るい続けた。

モデルリーク後は派生モデルばかり注目されてNovelAIの影響力は低下していたが、最近はまたバージョンアップなどである程度復権してきている。どっかから怒られてサ終するみたいな気配は全然無い。

ChatGPTがリリースされたのは2022年12月だ。

私が当時考えていた事は、このまま行くとAI企業に世界が支配されてしまってディストピアになるんじゃないかとかそんな事だった気がする。

というのもGPT-3のような大規模な言語モデルを学習するには凄まじい計算資源、ひいては凄まじいカネが必要だ。という事は大企業しかモデルを作れない。

しかもOpenAIは2020年にAIのスケーリング則を発表していた。これはAIは金をかければかけるほど、GPUを買えば買うほど強くなるという信仰を生んだ。

AIの基盤モデルの戦いは、一番強いLLMを作ったところが総取りするだろうし、それで儲けた金でますます計算資源を買いまくって、それで新たに作るAIはスケーリング則に則ってますます強くなる事が約束されてるわけだ。